ジェヒョン(NCT 127)の歌い方|柔らかな低音を、リズムと裏声で動かす

2023年「Horizon」の取材に掲載されたジェヒョン シンガー
2023年「Horizon」の取材に掲載されたジェヒョン

ジェヒョンの声に惹かれたとき、最初に残るのは、落ち着きや温かさかもしれません。
けれども、その声は曲の中でじっとしていません。
言葉をリズムへ乗せ、軽い声へ移り、別の声と重なりながら、柔らかさの表情を変えていきます。
その動きに注目すると、彼の歌い方がもっと立体的に見えてきます。

低い声の手触りと、軽く浮かぶ裏声

ジェヒョンの音色を捉える手がかりは、低い音域に少しかすれた手触りがあり、裏声には空気を含んだ軽さがあることです。
低い声の落ち着きと、ふっと浮かぶような高い声が、一人の歌の中に共存しています。
この質感の違いがあるため、音の高さが変わると、声の重さや距離の印象も変わります。

『J』では、低い声とファルセットを重ねたハーモニーも、歌の大きな魅力になっています。
主旋律だけを追うと穏やかな歌に感じられるところでも、周囲に重なる声へ耳を向けると、厚みや明るさが加わっていることが分かります。
裏声は、主旋律の高音を担当するだけでなく、歌全体の空間を広げる役割も持っているのです。

こうした音色を参考にするときは、低い声、高い声、重なった声を分けて捉えると分かりやすくなります。
一つの録音の豊かさを、すべて同時に一人で出す声だと考える必要はありません。

2024年『J』の取材に掲載されたジェヒョン
2024年『J』の取材に掲載されたジェヒョン。
画像出典:画像掲載元

「Smoke」は、柔らかい声のままリズムを立てる

「Smoke」の柔らかさには、言葉を動かすフローが組み合わされています。
本人が曲の特徴に挙げた、ずれを含むフローとは、声を拍の上へ均等に並べ続ける歌とは違う感触を生むものです。
落ち着いた音色でも、言葉の流れに変化があれば、歌は十分に動きます。
声を強く張ることと、リズムをはっきり感じさせることは、別々に考えられるのです。

この曲は、豊かなハーモニーから、歌うように言葉を運ぶサビへと移っていきます。
声を重ねる豊かさと、フレーズそのものの引っかかりを、異なる場面で使っています。
全編を同じ厚さで歌わないことが、曲の輪郭を作っているのです。

歌を追うときは、音程と一緒に、言葉がどんな間隔で現れるかにも注意してみてください。
長く伸ばす音だけをなぞるより、短い言葉がどこで続き、どこに間が生まれるかをつかむほうが、曲の動きに近づけます。

「Forever Only」の明るさに、寂しさを含ませる

「Forever Only」は、ギターの響きに、深みのある声を乗せたR&Bです。
ジェヒョンは、この曲の言葉を書く前に、孤独のイメージを思い浮かべています。
親密な歌いかけと寂しさを同居させることが、この歌を捉える手がかりになります。

「Completely」では、音の少なさが歌を近くする

「Completely」は、ピアノと弦を中心とするバラードです。
抑えた感触の歌に、切実な思いがにじむように組み立てられています。
音数の少ない伴奏では、歌の周囲を厚いサウンドで埋める余地が小さくなります。
一つのフレーズがどれほど丁寧に運ばれるか、声が残した余韻をどう受け取るかが、聴きどころになる曲です。

この曲では、軽いファルセットも歌の表情を作っています。
低い声の温かさに親しんだ後で、その軽さへ注意を向けると、同じ歌手の中にある質感の幅が分かります。
柔らかな声にも、重みを感じさせる出し方と、軽く浮かぶような出し方があります。

ジェヒョン自身も、この曲には、目を閉じてイヤホンで向き合うような聴かれ方を求めていました。
アルバムの中に、気軽に体を揺らせる曲や締めくくりの曲とともに、そうした時間を設けたかったのです。
歌の近さは、曲の配置にも関わっています。
すべての曲で同じ華やかさを示す必要がないことが、このバラードを際立たせます。

2024年の『リムジンサービス』で歌った「Close To You」には、温かい低音を、低い弦楽器の響きになぞらえる反応もありました。
このたとえは、音の低さに加え、声の手触りに聴き手が惹かれたことをよく表しています。
自作のR&Bとは異なる曲でも、声そのものの温かさが印象に残るのです。

「Can't Get You」は、語尾と終盤の歌で余韻を変える

「Can't Get You」では、いくつかのフレーズを細く収める歌い方と、終盤のアドリブが対照を作ります。
言葉の終わりを同じ強さで切りそろえず、響きをほどくように収める。
一方、終盤には、メロディーへ装飾を加える歌が現れます。
フレーズを終えるときの小さな変化と、曲の最後で広がる表現を、一緒に楽しめる曲です。

声の魅力は、音を出した瞬間にだけ表れるものではありません。
どこまで保ち、どんな形で終えるかによっても、歌の余韻は変わります。
低音の質感と同じように、言葉の出口にも注目してみたいところです。

ハーモニーでは、自分の声と相手の声を一緒に聴く

NCT DOJAEJUNGのドヨンは、三人それぞれの声の魅力が違うことと、重なったときの美しい調和を、両方の強みとして挙げています。
ジェヒョンの声も、その関係の中で捉えると印象が変わります。
ソロで一曲を受け持つときに加え、相手の音色と並ぶことで、自分の声の質感を生かす場面があるのです。

「Perfume」は、声の違いと混ざり方を確かめやすい曲です。
また「Dive」では、三人の声がふくらみ、流れていく響きが、曲の豊かさを支えています。
主旋律を誰が歌っているかを追った後に、合わさった声のまとまりへ耳を向けると、聴きどころが変わります。

2026年6月、ソウルの『MONO』公演で歌うジェヒョン
2026年6月、ソウルの『MONO』公演で歌うジェヒョン。
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ソロ曲「Unconditional」にも、ソウルやブルースの感触を持つコーラスがあります。
録音のクレジットでは、バックボーカルにジェヒョンと複数の制作者が名を連ねています。
厚みのある響きのすべてを、一人の発声の強さへ結びつけると、この曲の作り方を見落とします。
前に立つ歌と、その周囲を支える声の組み合わせが、曲の表情を作っています。

バラードの終盤で、声の温かさを残す

「99 Degrees」は、ピアノから始まってサウンドが広がり、終盤では温かいボーカルが中心になります。
伴奏が変化することで、同じ歌手の声を受け取る距離も変わっていく構成です。
音の大きさだけを追うより、最後に何が耳に残るように作られているかに注目すると、声の役割が見えてきます。

ジェヒョンの歌い方には、柔らかい音色を保ちながら、リズムや裏声、声の重なりで表情を変える面白さがあります。
低音の温かさを感じながら、言葉の動きや、周囲の声との関係まで聴いていく。
その順に耳を向けると、落ち着いた声の中にある細かな変化を楽しめます。
こうした表現を選ぶ歩みは、ジェヒョン(NCT 127)の歌唱変遷でたどれます。

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