ミナ(TWICE)の歌声の変遷|九人の中の繊細な表現から、一曲を担うソロへ

ミナ/2021年のインタビュー掲載写真(撮影:An Sangmi) シンガー
ミナ/2021年のインタビュー掲載写真(撮影:An Sangmi)

ミナの歌声は、TWICEの中で出会った繊細な表現を、MISAMO、そしてソロ曲へと広げてきました。
九人で歌をつなぐときには、短い出番で曲の気分を変える。
一曲を任されれば、自分の声でその世界を最後まで描く。
その役割の広がりをたどると、優雅な印象の奥にある、歌い方を選び直す意欲が見えてきます。

TWICEの明るさの中で、歌の物語を引き受ける

ミナがTWICEの一員としてデビューしたのは2015年です。
「Like OOH-AHH」に続き、翌年の「CHEER UP」「TT」でグループの人気は大きく広がりました。
明るい曲の印象が強いTWICEですが、その歩みの中では、歌が伝える感情も少しずつ複雑になっていきます。

2019年の「Feel Special」には、活動を休んでいたミナも録音で参加。
ダヒョンは、ミナから次の声へ、孤独から支えを得る物語がつながる点を説明しています。

ここで注目したいのは、一人の声だけで物語を完結させない構成です。
ミナが受け持った心情を、次のメンバーが受け取る。
そのつながりによって歌の意味が深まるため、担当する時間の長さだけでは、一曲の中での存在感を測れません。
後年のソロ曲と比べる際にも、この九人で歌う出発点が大切になります。

「Cry For Me」で、明るさとは違う感情を見せる

ミナ/2021年のインタビュー掲載写真(撮影:An Sangmi)
ミナ/2021年のインタビュー掲載写真(撮影:An Sangmi)。
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2020年の「Cry For Me」は、ミナ自身が自分に合っていたと感じた曲でした。
翌年には、録音で一度了承を得ても、自分から別の歌い方を試し、比較したことがあると話しています。
録った声を聴き返し、より合う表現を探す姿勢がうかがえます。

2021年、ミナは「Cry For Me」をオーケストラのような編成でも歌ってみたいと語っています。
完成した曲にも、違う響きの中で表現する余地を感じていたのでしょう。

この時期の変化は、単に大人っぽい曲が増えたことだけではありません。
曲の中で自分が担う感情を考え、別の歌い方や伴奏まで思い描くようになっている。
歌声の印象を曲のイメージに任せきりにせず、自分から表現の可能性を探す歌手としての姿が、言葉にも表れてきます。

ソロカバーと、MISAMOで増えた表現の余地

一人で歌う姿は、MISAMOの始動前から公開されていました。
2016年にはパク・ヒョシンの「Good Person」、2021年12月にはSiaの「Snowman」をカバー。
TWICEの企画「Melody Project」は、グループ曲の一部分とは違う長さで、一人ひとりの歌を届ける機会になっていました。

カバーでは、すでに知られている曲を自分の声でどう表すかが問われます。
のちのオリジナルのソロ曲では、どんな曲が自分に合うかを選ぶところから、表現が始まる。
その違いを踏まえると、ソロ歌唱を初めて経験した年だけで変遷を区切るより、歌手として何を任されるようになったのかが見えてきます。

2023年には、サナ、モモとのMISAMOが『Masterpiece』を発表します。
ミナが目指したのは、TWICEではまだ出していなかった、三人だからこそできる音楽でした。
自身が作詞に参加した「It's not easy for you」を黒にたとえていたことも印象的です。
ロックの要素を持つ曲に、自分の言葉で踏み込む機会が生まれました。

九人から三人へ変わると、誰の声でどの場面を描くかという組み合わせも変わります。
さらに作詞に関われば、言葉が持つ感情を考える立場も加わる。
ミナの表現が広がったのは、歌う順番が増えたからだけでなく、曲の世界を作る側として関わる範囲が広がったからでもあります。

「Misty」で、一曲を自分の声に任せる

2024年の『HAUTE COUTURE』では、ソロ曲「Misty」を発表します。
ミナは自分の声に合う曲を選び、本来の声色を生かしました。
その一方、一曲の録音を通して体力と状態を保つ難しさに直面し、二日かけて完成させています。

短い担当部分なら、その場面に必要な声を集中して録れます。
一曲を歌えば、前の場面から次の場面へのつながりまで、自分の声が引き受けることになります。
「Misty」で経験した難しさには、役割の変化が具体的に表れています。
自分に合う曲を選ぶことと、その曲を最後まで納得できる状態で仕上げることは、別々の課題だったのです。

舞台にも経験の積み重ねがありました。
ミナは2023年のMISAMOのショーケースと比べ、2024年のドームツアーには安定感が加わったと振り返っています。
最初の舞台を経験したことで、より大きな会場でも安心して臨めるようになったといいます。

ミナ/2025年のインタビュー掲載写真(撮影:Hyea W. Kang)
ミナ/2025年のインタビュー掲載写真(撮影:Hyea W. Kang)。
画像出典:画像掲載元

この安定感は、舞台で歌を届ける際の気持ちにも関わる変化です。
三人で作品を作り、三人でステージに立ち、その経験を次へ持ち越す。
新しい歌い方を試すことと、舞台に立つときの手応えを育てることが、同じ時期に進んでいたのでした。

「STONE COLD」から「Turning Tables」へ

2025年の『TEN: The Story Goes On』には、メンバーそれぞれのソロ曲が入りました。
ミナは、十年を共にしたことで互いの声を理解し、持ち味を生かしてパートを分けられると話しています。

ミナのソロ曲は「STONE COLD」です。
2025年10月のシンガポール公演では、ダンスとともに柔らかな歌声を届けた姿が伝えられています。
ソロの舞台でも、声の柔らかさは彼女の表現の一部として残っていました。

次の方向は、2026年のMISAMO『PLAY』に入った「Turning Tables」でさらに変わります。
ミナは「Misty」を物寂しい曲、「STONE COLD」を暗い色合いの曲と捉え、今度は別の、クールな雰囲気を求めました。
新しいスタイルの録音には難しさもあったといいます。

「Turning Tables」ではラップにも挑戦。
自分が求めるものを迷わず手にしていく人物像に、これまでとは異なる一面を重ねています。

「Misty」で本来の声を大切にしたあとも、その声に合う表現を一種類に決めてはいません。
物寂しさ、暗さ、そして前へ踏み出す強さへ。
同じ歌手が次の曲で違う役柄を選ぶことで、聴き手が知るミナの姿も更新されていきます。

変わってきたのは、声で引き受ける物語の広さ

TWICEでは、メンバーへ受け渡す短い場面に感情を込める。
MISAMOでは、三人の組み合わせで新しい音楽を作る。
ソロ曲では、選曲から一曲の完成まで、自分の声を中心に考える。
ミナの歩みには、この役割の広がりがあります。
優雅さを残しながらも、次の作品で何を見せるかを選び続けている。
その積み重ねが、現在の歌声を形作っているのでしょう。

曲ごとの声の選び方は、ミナ(TWICE)の歌い方で掘り下げています。

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