WOODZの歌声の変遷|静かなR&Bから、高音を聴かせるロックのその先へ

2022年、『COLORFUL TRAUMA』発表時のWOODZ(写真:アーティスト提供) WOODZ
2022年、『COLORFUL TRAUMA』発表時のWOODZ(写真:アーティスト提供)

WOODZは、大きな反響を呼んだ兵役中のステージで、最初は「Drowning」を歌いたくなかったと話しています。
高くて難しく、以前ほど歌えていない時期の自分に、不安があったのです。

人を驚かせる高音を持つ歌手が、その高音をどう扱うか考え続けている。
WOODZの歩みをたどると、そこに歌声の変化を読み解く手掛かりがあります。

2018年、ささやく声にも居場所をつくる

2014年にUNIQのラッパーとしてデビューし、2016年にはLuizy名義でソロ活動を始めたチョ・スンヨン。
2018年からWOODZを名乗り、R&Bへ向かっていきます。

「POOL」や「DIFFERENT」は、その時期の滑らかなR&Bを代表する曲です。
ラップで言葉を届ける仕事に加え、旋律の中へ声をなじませる作品を重ねていました。

同年の「Meaningless」では、ささやくような始まりから、柔らかなファルセットへ移っていきます。
強く張る声を前面に出すより、気持ちが外へこぼれるような歌です。
後の大きなロック曲へつながる声の中にも、初めからこうした小さな表情がありました。

この曲の言葉は、本人が日記に書いていた思いから生まれました。
つらい時に、無理に元気にならなくてもいい。
そのままの状態でいてもよいという気持ちを、歌へ移したのです。
慰められたという反応に、今度は自分が支えられたとも振り返っています。
声を目立たせるだけでなく、聴く人と気持ちを交わせることが、音楽を続ける理由になっていました。

2020年、歌える幅を見せる作品と舞台

2019年の「PRODUCE X 101」とX1での活動を経て、2020年に『EQUAL』を発表します。
本人には、歌も踊りも制作もできるところを好きになってくれた人へ、その力を見せたい思いがありました。
静かなR&Bの歌手という一面から、表現できる範囲を広く提示する時期へ進んでいきます。

この年の「覆面歌王」では、「이미 슬픈 사랑」を歌いました。
切実なシャウトを聴かせるロックバラードです。
ラッパーとしての出発点や、2018年の柔らかな歌だけでは説明しきれない、強く張る声も舞台で示しています。
後の「Drowning」で突然、高音を使う歌手になったわけではありません。

続く『WOOPS!』では、できることをたくさん見せた前作から、もっと分かりやすく伝える方法へ意識を移しました。
「BUMP BUMP」はレトロなロックを土台に、ぶつかってもまた笑い合う恋人たちを描く曲です。
舞台では自由な動きの中で楽しさを届けたいと語っています。
技を並べることから、曲の気分を一緒に味わえる歌へ。
本人の関心は、早くも次の段階へ向かっていました。

2020年の取材に掲載されたWOODZ
2020年の取材に掲載されたWOODZ。
画像出典:画像掲載元

2021年、ギターと声で表情を変える

2021年の「FEEL LIKE」は、明るく澄んだ声とギターの絡みが印象をつくる曲です。

この曲を収めた『SET』の制作では、前作で満足できなかった点を見直し、集中を妨げるものを減らそうとしました。

同年の『ONLY LOVERS LEFT』では、恋の始まりから別れへ、一枚を一つの物語として組み立てました。
遠く離れた相手を思う「Multiply」から、切羽詰まった「WAITING」へ。
曲調を変えるだけでなく、同じ恋の中で気持ちが変わる順番を、歌い分ける作品です。

「WAITING」には、軽く息を含む歌と、ファルセットへ移る時の切実さがあります。
強いギターを使う曲でも、声を最初から最後まで太く揃えるわけではありません。
音の強さと声の軽さが同居する、この時期らしい組み合わせでした。

2022〜23年、ロックの力と弱さを同じ舞台へ

『COLORFUL TRAUMA』でロックをさらに前へ出した背景には、若い頃から親しんだバンドやアヴリル・ラヴィーンの音楽がありました。
昔の作品を好きな人が新作を好まない可能性も、本人は考えていました。
それでも、過去の自分と今の自分は違うし、以前の音楽へ戻ることもできる。
その考えが、新しい選択を支えています。

2023年の『OO-LI』とツアーでは、自分の弱さを明かすことが次へ進む条件になりました。
ソウル公演の「ABYSS」は、その思いを置く場です。
勢いのある曲を続けた舞台が、アコースティックな響きの中へ入り、自分を慰める歌へ切り替わりました。
同じ公演の「Drowning」では、高い音を伴うロックの歌唱を聴かせています。
歌い終えた本人が息を切らしていたことも、当時の公演記録に残っています。
弱さを静かに語る歌と、声を張って伝える歌が、一つのステージに並んだのです。

2024〜25年、歌の広がりと、歌う本人の条件

「Drowning」は2023年4月に発表された曲です。
兵役中の歌唱をきっかけに再び注目され、2025年には大きなヒットになりました。
新曲の発売と人気が広がった時期には、時間差があります。

ただ、本人はそのステージで「Journey」を歌うつもりでした。
制作側やスタッフの希望を受けて、「Drowning」へ変えたのです。
評価を高めた舞台にも、本人の迷いはありました。

多くの人に知られたことと、その時が本人にとって最も歌いやすい状態だったことは、同じではありません。
この一曲の成功だけで、兵役を境に声が強くなったと結論づけることもできないでしょう。

2025年の「I’ll Never Love Again」では、本人が曲の構成から歌いやすさを考えています。
「Drowning」は2番にも高い音が続く。
新曲では途中に少し休める部分を置き、サビの高音へ向かえるようにしたと説明しました。
難しい曲を歌い切るだけでなく、自分の声を生かせる流れを作る。
作曲する歌手ならではの、具体的な変化です。

2025年、SUMMER SONICで歌うWOODZ(写真:EDAM Entertainment/SUMMER SONIC)
2025年、SUMMER SONICで歌うWOODZ(写真:EDAM Entertainment/SUMMER SONIC)。
画像出典:画像掲載元

2026年、一曲の成功から、歌声全体を見せる公演へ

初のフルアルバム『Archive. 1』には、「Drowning」と大きく異なる曲も入りました。
多くの人が知る一曲から離れる不安はあっても、それで止まったら先へ進めないと考えたのです。
本人は、グループなら複数の声で持つ歌を、ソロでは一人で担う違いも語っています。
自由に表現できる分だけ、歌全体を自分で成立させる責任がありました。

その幅はロンドン公演にも表れています。
「Busted」では柔らかな声と力のあるサビを行き来し、「Drowning」の最後のサビは客席へ渡しました。
代表曲の高音を聴かせるだけでなく、観客の声も入る歌へ育てていたのです。
一人の声に集中させる場面から、会場全体で続きを歌う場面へ。
同じ曲も、舞台で誰が声を担うかによって、別の表情を持ちます。

同年9月、イ・スンチョルとの「우리만의 이야기(Our Story)」では、先輩のほうがWOODZのデモを繰り返し聴き、歌い方を参考にして録音しました。
自分で作って歌った表情が、別の歌手の歌い方にも渡っていく。
一人で歌える幅とは違う、表現の広がりも生まれています。

10月には、今も定期的に先生と歌について相談していることを明かしました。
その一方、イ・スンチョルからは、技術だけでなく感情の面でも別のことを考えてみるよう助言を受けています。
高音を出せるようになった後にも、考える課題は続いていました。
新曲「Come into my world!」も、公演の早い段階で観客と呼吸を合わせ、場の熱を上げるために作ったと説明しています。

初期のささやく歌から、ロックの張った声へ。
そこからさらに、声を休める場所を作り、柔らかさを残し、客席の歌を迎え入れる表現へ。
WOODZの変遷は、声の強さを増やすだけの物語ではありません。
自分の声で何を伝え、その声をどこで使うかを、作品ごとに選び直す歩みです。

高音へ向かう前の声の扱い、裏声やギターとの関係は、WOODZの歌い方で掘り下げています。

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