ミンジュ (ILLIT) の歌声の変遷|自分の音色を生かす方法はどう広がったか

2026年初めに掲載された取材のミンジュ シンガー
2026年初めに掲載された取材のミンジュ

ILLITのミンジュは、特徴のある声を持ちながら、その声をどう使うかで悩んできた歌手です。
デビュー曲では、短い導入部を翌日まで録り直しました。
その後も、ラップ、英語の共演曲、力を抜いた歌と、違う課題に向き合っています。
目立つ声をもっと目立たせるだけではない。
曲に応じて自分を変えることが、ミンジュらしい歌を増やしてきました。

得意な声があっても、慣れた歌い方だけでは進めなかった

ミンジュの出発点はダンススクールでした。
歌が好きで得意だと実感したのは、高校時代に練習を重ねる中でのことです。
一方、最初に習った歌い方から離れられず、思うように上達しない悩みもありました。
デビュー準備ではそのこだわりを緩め、プロデューサーの助言に沿って違う表現を試すようになります。
本人も指導する側も、以前は知らなかった声を発見したのでした。

それ以前の「R U Next?」でも、持ち味はすでに注目されていました。
2023年の番組では、CLの「Tie a Cherry」などを経て、第五ラウンドで2NE1の「I Don't Care」を歌っています。
このとき評価されたのは、原曲をなぞるだけでない、本人の音色による表現でした。
新しい歌い方を学ぶことは、それまでの声を否定することとは違っていたのです。

2024年のデビュー期のミンジュ
2024年のデビュー期のミンジュ。
画像出典:画像掲載元

2024年のデビュー曲「Magnetic」は、その調整の難しさが表れた一曲です。
ミンジュは導入部だけで二時間かけ、翌日にも録音を続けました。
最初は求められる感じを出せず、教わってから歌い直したと振り返っています。
長い曲を完走する難しさとは別に、短い歌で作品の第一印象を作る難しさがありました。

こうした経緯を知ると、ミンジュの個性を、生まれつきの音色だけで説明することはできなくなります。
耳に残る声を持っていても、その曲に合う表情になるまで録り直す。
デビューは、持ち味を作品の中へ置き直す経験でもありました。

ラップの苦戦から、別の言語で歌う経験へ

次の『I’LL LIKE YOU』では、「Cherish (My Love)」のラップが大きな課題になりました。
ミンジュにとって最も難しかった部分が、後には一番楽しく歌える部分になっています。
得意な歌い方を繰り返すだけなら、こうした手応えは生まれなかったでしょう。
2024年を振り返った本人は、体力や自己管理にも成長を感じていました。

2025年には、初の日本オリジナル曲「Almond Chocolate」を発表します。
初めて日本語で録る経験は、少し難しく、不思議でもあり、楽しかったとミンジュは話しました。
慣れた言語の曲を歌うときとは、言葉へ向かう感覚も違います。
この時期には、楽器を習うことで音楽の幅を広げたいという希望も口にしていました。

さらに、ユナと参加したカイリー・キャントラルの「See U Tonight」では、英語の発音へ向き合います。
デモを聞いて言葉の響きを捉え、異なる声を持つ相手との釣り合いも考える。
日本語と英語で歌う機会が、普段のグループ曲とは違う声の使い方を考える経験になりました。

声の色を探す一方で、歌の基礎も鍛え直す

2025年の『bomb』の時期、ミンジュは、もともとの声をもう少しきれいに歌えたらILLITに合うのではないかと考えていました。
「Do the Dance」の録音では、感情の出し方や音の終わりの処理に苦戦しています。
歌い方の方向を見つけても、フレーズの細部まで仕上げる難しさは残っていました。

同作の発売時には、ボーカルの力を伸ばすため、基礎練習へ力を入れたことも明かしています。
その結果、プロデューサーから音程が安定してきたという反応がありました。
独特な声を持っていることと、その声を狙った音へ運べることは別の課題です。
この時期の成長には、音色の探求とともに、歌を支える基礎への取り組みがありました。

一方、日本のファンコンサートで披露した「Topping」では、口元に笑みを浮かべて歌っていました。
初デートを前にした気持ちを表し、歌詞と表情を合わせようとしたのです。
より難しい音を出せるようになることと、曲の人物に近づくこと。
この時期のミンジュは、その両方に取り組んでいました。

力を抜くと、別の自分が曲にはまった

2025年11月の「NOT CUTE ANYMORE」は、レゲエのリズムを土台にした曲です。
落ち着きのある曲で、声の細部へ気を配る必要がありました。
ミンジュは、力を抜いて自分の声を録る過程を新鮮に感じていました。
歌への力のかけ方にも新しい要求があったのです。

ただ、その歌い方へすぐに馴染めたわけではありません。
プロデューサーと試しながら見つけたのが、飾らず、話すように、ほとんど力を抜く表現でした。
加えていたものを減らすことも、前へ進む経験になりました。

2026年初めに掲載された取材でも、この経験は次の歌につながっていました。
本人が望んだのは、力を抜く歌い方で、穏やかな曲をライブで届けることです。
一曲で得た手応えが、その先の選曲にもつながっていました。

2026年は、歌い分けから声の作り方への参加へ

『MAMIHLAPINATAPAI』では、曲の多彩さが伝わるよう、区間ごとに態度を変えて歌うことへ力を入れました。
堂々とする、クールに見せる、惹きつける。
歌の進行に合わせ、人物の表情を動かす考え方です。
「Love, older you」には、メンバーが過去の自分へ書いた手紙も反映されました。
自分たちの経験を歌へ持ち込む機会も増えていました。

2026年初めの取材に掲載されたミンジュのポートレート
2026年初めの取材に掲載されたミンジュのポートレート。
画像出典:画像掲載元

同年9月に公開したイ・ヒョリの「10 Minutes」のカバーでは、選曲だけでなく、ボーカルの方向づけやコーラスの録音にもミンジュが意見を出しました。
原曲の時代の感触を表すことには難しさも感じながら、R&Bの表現へ仕立てています。
デビュー時に教わりながら声を探した人が、今度は作る側へも踏み込んでいました。

10月の『BREAK EVEN』では、「More」のサビに続く部分を歌うと、溜めていた苛立ちが出ていくようだと話しています。
歌の内容を理解するだけでなく、歌う行為そのものが感情を動かす。
その実感は、かわいい曲からクールな曲へという分類よりも、今のミンジュを具体的に伝えてくれます。

ミンジュの変化は、同じ声を次第に強くしてきた歩みではありません。
細部を教わって歌い直し、相手に合わせ、力を抜き、自分から作り方を提案する。
音色の個性を残したまま、曲に応じて選べる表現が増えてきました。
その積み重ねがあるからこそ、次に違う曲を歌うときも、まだ知らないミンジュの声に出会えそうです。

曲ごとの声や言葉の使い方は、ミンジュ(ILLIT)の歌い方で掘り下げています。

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