ナッティ(KISS OF LIFE)の歌い方|滑らかな低音と弾む声、曲で変わるリズムの作り方

2024年6月、自分の好きな音楽と現在の活動について語ったナッティ シンガー
2024年6月、自分の好きな音楽と現在の活動について語ったナッティ

ナッティの歌には、声がリズムの中を動いていく面白さがあります。
「Sugarcoat」で滑らかに進む旋律と、「Teddy Bear」で弾むように繰り返されるサビ。
同じ歌い手でも、音をつなぐ場面と、言葉のはずみを際立たせる場面では、声の役割が変わります。
KISS OF LIFEではメインダンサーを担う彼女ですが、歌の魅力も、声質とリズムの扱いを合わせて考えると見えてきます。

低い音から滑らかにつなぐ「Sugarcoat」

「Sugarcoat」の歌唱では、低い音域と滑らかな旋律運びが聴きどころとして評価されています。
声を高く張る迫力とは異なり、リフやランと呼ばれる細かな音の動きが、フレーズにしなやかさを加えます。
低い音を使うことと、重く歌うことは同じではありません。
この曲を捉える鍵は、低音の存在感を持ちながら、旋律が滞らず進むところにあります。

ランは、短い時間に複数の音へ移っていく歌い回しを指します。
一つの高さを長く伸ばすだけの場合とは違い、音が次々と変わることで、フレーズの進み方に変化が生まれます。
ビブラートのように音の周辺を反復して揺らす表現とも区別できます。
こうした違いを知ると、装飾の多さだけで歌唱力を判断せず、動く音が曲の流れをどう作るかに目を向けられます。

この曲を年間の一曲に選んだアンドレス・ロペスは、ナッティが曲中で何度もフロウを変えることに着目していました。
フロウとは、言葉と音を、時間の中へどう流していくかということです。
同じ調子を保つ気持ちよさと、進み方を変える刺激が一曲の中にある。
滑らかな歌だからといって、ずっと均一に歌っていると捉えると、その面白さを取りこぼしてしまいます。

アドリブに加えられた音響効果も、この曲では評価されています。
声の質感を本人の音色だけに帰さず、録音の作りと合わせて捉えると、曲としてのまとまりも見えてきます。

2024年6月、ソロ時代と現在の音楽について語ったナッティ
2024年6月、ソロ時代と現在の音楽について語ったナッティ。
画像出典:画像掲載元

旋律の動きと言葉の形を、切り離さない

「Sugarcoat」では、細かく動く旋律と言葉が噛み合うことも大切です。
評論家キム・ユナは、チョ・ユンギョンの作詞とナッティの歌唱の組み合わせを評価しています。
音を巧みに動かせても、言葉の運びが曲から浮いてしまえば、歌の流れは違うものになります。
声の装飾を聴かせながら、言葉も旋律の一部として進ませる。
その両立が、この曲の滑らかさを支えています。

言葉の扱いは、グループ加入後だけに現れた特徴ではありません。
初期の歌を評したランディは、ナッティが複数の言語のニュアンスを歌やラップに生かす点を取り上げていました。
言語が変われば、母音や子音の並びも変わります。
その違いを声の表情へつなげることは、音の高さや強さとは別の、歌を特徴づける要素です。

弾む声を生かすと、同じ人の歌が違って見える

「NINETEEN」では、軽やかな声を重ねたフックと、サビ前のリズムの変化が注目されていました。
歌とヒップホップの間を行き来するような作りがあり、明るいダンスポップの中でも声の運びは単調ではありません。
「Sugarcoat」の落ち着いた印象だけでナッティを捉えず、こちらを並べると、軽さを前へ出す歌も彼女の表現だと分かります。

「Teddy Bear」は、さらに弾む音色とチャント風のサビが前に出る曲です。
チャントは、言葉をリズムに合わせて呼びかけたり、繰り返したりする表現です。
旋律を長く流す歌い方とは、耳に残る仕組みが違います。
短いフレーズの繰り返しが曲の勢いを作るため、ここでは声の軽快さが、強いドラムやシンセの動きと結びついています。

滑らかさと弾みは、どちらかが優れた歌い方という関係ではありません。
音をつないで流れを作るのか、短い言葉のまとまりでリズムを感じさせるのか。
曲の作りが違うから、声を印象づける方法も変わります。
ナッティの歌を一つの音色だけで説明しようとするより、こうした役割の違いを比べるほうが、表現の幅を捉えやすくなります。

2026年夏の取材時に撮影されたナッティ
2026年夏の取材時に撮影されたナッティ。
画像出典:画像掲載元

主役として歌う声と、相手の曲に加わる声

ADORAの「밤이 되니까」では、ナッティがラップのパートを担っています。
これは2017年のPunchの曲を、2024年に捉え直した録音です。
歌の中心を担うADORAに対し、ナッティは異なる言葉のリズムで加わる。
二人の名前が並んでいても、同じ役割を分け合った歌ではないことが、聴く際の手がかりになります。

밤이 되니까|2024年のリメイク録音(韓国語版)

ラップの働きを考えるときも、音程があるかないかだけで分ける必要はありません。
言葉をどの長さでまとめ、拍の中へどう収めるかが、表現を組み立てます。
メロディを伸ばす歌と、言葉のまとまりを運ぶ歌では、同じ曲の中でも時間の感じ方が変わる。
その違いが、客演の声を加える意味にもなります。

ナッティは、幼い頃からストリートダンスを通じて、1990年代の音楽や文化に触れてきたと話しています。
ヒップホップ、R&B、ポップを聴き、歌手たちの舞台からも学んできました。
歌とダンスを別々の得意分野に分けるより、好きな音楽のリズムを、声と身体の両方で表す人と考えると、選ぶ曲のつながりが見えてきます。

力強い舞台の印象だけで、声を決めつけない

「Sticky」では、ナッティ自身が、メンバーの声とダンスをアフロビートへ生かしたと説明しています。
グループの強い印象に、明るく涼やかな面を加える試みでした。
得意な音楽を持つことは、毎回同じ勢いで歌うことではありません。
声の持ち味を別のリズムへ置き、曲全体の温度を変える選択も含まれています。

『覆面歌王』で「Four Seasons」を歌った際には、幻想的な声の印象が取り上げられました。
ダンスのイメージから入った人にとっては、声そのものの表情へ目を向けるきっかけになる歌唱です。
グループの舞台で見せる華やかさと、この選曲で伝わった幻想的な雰囲気。
その違いも、声の幅を捉える手がかりになります。

Four Seasons|『覆面歌王』2025年5月11日放送(歌唱・トークを含む公式編集版)

低い音から旋律を滑らかにつなぎ、別の曲では声を軽く弾ませ、客演では言葉のリズムを担う。
ナッティの歌い方は、こうした選択を並べると立体的になります。
「Sugarcoat」のしなやかさも、さまざまな役割を持つ声の一つです。
どの曲でも同じ技法を見つけようとするより、その声が曲の中で何をしているかを追うと、ダンサーとして知られる彼女の歌の面白さへ近づけます。

ソロ時代から、好きな音楽を自分で選ぶようになる歩みは、ナッティ (KISS OF LIFE)の歌唱変遷でたどっています。

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