ヒョリンの歌い方|力強い高音を支える、息・強弱・声の配分

2022年の取材写真/写真提供:Bridge/Rolling Stone Korea シンガー
2022年の取材写真/写真提供:Bridge/Rolling Stone Korea

ヒョリンの高音を支えているものの一つが、途中にある短い休みだ。
IUの歌唱と比較されたとき、本人がまず説明したのも、その区切りの違いだった。

強く歌う、力を緩める、息を含ませる、相手の声を迎える。
ヒョリンの歌い方は、その選択を曲の中でどう組み合わせるかに面白さがある。

高音の段数より、声をつなぐ間に目を向ける

2013年、ヒョリンは自分の高音には区切りがある一方、IUは一息で続けるため大変だと思う、と話した。
この説明が教えてくれるのは、目立つ高音をひとまとめにして難しさを比べられないことだ。
一つずつ上がる歌い方と、長くつないでいく歌い方では、息を使う時間の組み立てが異なる。

聴きどころを高い音の頂点だけに絞ると、その手前の短い休みや、次の言葉へ向かう準備を見落としやすい。
ヒョリン自身が説明したのは、まさにその違いだった。
高音を出す瞬間と、そこまで声を運ぶ流れを一緒に捉えると、歌の迫力がどこから来るかを考えやすくなる。

ハスキーな声の中でも、押し出す強さを変える

ハスキーという言葉は、声の手触りを表しても、いつも大きく歌うことまでは意味しない。
2016年の『覆面歌王』で歌った「미안해요」では、後半の盛り上がりでも力を込めたり緩めたりする歌唱が注目された。
かすれを含む音色を保ちながら、その中で強弱を動かすところに、切実さを伝える余地がある。

この歌唱で考えたいのは、声の強さをどこまで続け、どこで緩めるかという配分だ。
曲の山場にも、その違いを置ける余地がある。

2013年の『LOVE & HATE』でも、力を抜いて語るような声と、力強い歌唱を同居させていた。
「Lonely」と「One Way Love」の異なる曲調を並べたことも、その幅を受け止める器になっている。
ヒョリンらしい声を知るには、迫力のある場面と、声を軽く運ぶ場面の両方を見ておきたい。

歌声を囲む音が少ないと、その配分にも目を向けやすくなる。
2015年に公開したアデルの「Hello」のカバーでは、クルムが担当したピアノとパーカッションを中心とする小さな編成で歌った。
大勢のダンサーと組む場面とは、声が置かれる場所が違う。
声の表情を考えるときは、どんな伴奏を選んでその声を聴かせているかも、一緒に見たい。

「Layin’ Low」は、息を含む声にも役割を持たせる

「Layin’ Low」を語った2022年の掲載写真/写真提供:Bridge/Rolling Stone Korea
「Layin’ Low」を語った2022年の掲載写真/写真提供:Bridge/Rolling Stone Korea。
画像出典:画像掲載元

2022年の「Layin’ Low」では、息を含んだ歌声と、背景のアドリブや高音の組み合わせが評価された。
シンセサイザーと低音の響きを背景に、声の質感そのものが曲の色になる。
ここでいう息を含む声とは、空気が混じって聞こえる柔らかな響きのことだ。
同じ曲の中にある高音と合わせて考えると、強く響かせる声との違いが表現の材料になっていることが分かる。

ジュヨンに参加を頼んだのは、ヒョリン自身だった。
以前の共演がよい経験になっていて、この曲にも彼の声が合うと考えたという。
自分一人の声で埋め尽くすより、相手が入ったときに曲の魅力がどう出るかを見ていた。

歌とダンスの関係についても、先に曲を聴き、その内容を考えてから振付家を選ぶと説明している。
見せたい動きから曲を決めるのではなく、歌が伝える男女の関係を動きへ広げていく。
声の柔らかさも力強さも、その曲を表すための選択として考えると、ヒョリンのパフォーマンスがつながって見える。

動いている身体の中で、安定する声を探す

それでも、踊りながら歌うとなれば、声には別の難しさが加わる。
ヒョリンは練習室やランニングマシンで、走りながら歌う練習を重ねてきた。
身体が動く中でも音が揺れにくい感覚を探し、身体に覚えさせようとした、と本人は説明している。

これは本人が自分のために見つけた方法で、速く走るほど歌がうまくなるという話ではない。
注目したいのは、止まった姿勢で出せる声を、本番の動作の中でも使えるようにしていたことだ。
歌と振付を別々に完成させるだけでなく、両方を同時に行う条件で確かめていた。

2022年のラジオ出演時にも、歌もダンスも上達したくて、あえて動きながら練習したと語っている。
その朝には「BLUE MOON」を披露し、歌声に加えてラップや高音も取り上げられた。
一つの発声をどんな曲にも当てはめるというより、必要な声を動きのある状況でも選べるよう、準備してきた歌手なのである。

相手に合わせる前に、自分の歌える旋律を作る

「Dally」の制作では、ヒョリンが自分の声に合うように歌の旋律を作った。
GRAYのビートに対し、別れに疲れた男女の感情をやり取りする形を取っている。
声の特徴を、最後の歌入れだけで調整するのではなく、メロディを作る段階から曲へ組み込んでいたのだ。

GRAYが男性側の言葉を書き、ヒョリンがメロディの案を出す。
本人は、そのように互いの考えを交換した制作を振り返っている。
男女の声が並ぶ理由が曲の中にあるから、それぞれの歌にも相手へ向ける役割が生まれる。
声の強さを披露する曲としてだけ聴くと、この会話のような作りを取りこぼしてしまう。

2024年のSISTAR19では、さらにボラの歌を引き出す側になった。
「NO MORE(MA BOY)」では、ラップを主に担ってきたボラが歌に挑戦し、ヒョリンが歌唱の方向を伝えている。
相手の声をどう生かすかまで考える仕事は、二人で歌う曲の聴こえ方を作ることでもある。

熱唱していても、歌の中には静けさがある

2024年『覆面歌王』出演時/写真:MBC/iMBC
2024年『覆面歌王』出演時/写真:MBC/iMBC。
画像出典:画像掲載元

『覆面歌王』の「Love wins all」について、ヒョリンは、自分だけが世界に残されたような感覚になったと話した。
普段はにぎやかな会場で歌うことが多いのに、この曲では、熱唱していても内側には静けさがあったという。
声の強さと、歌い手が感じている距離や孤独は、同じものではない。

言葉の響きから歌を選ぶ場合もある。
2026年の『OriginaLyn』では、仮の音節や英語で作ったメロディを韓国語にすると、リズムや発音の自然さが変わることを意識した。
意味を置き換えるだけでなく、実際に歌ったときに無理なく口に乗るかを考えていたのだ。

声を強く出せることと、その力をどこで使うかを決められること。
ヒョリンの歌には、その二つを一緒に考えるための材料がある。
「Layin’ Low」の声の質感や「Dally」の旋律作りを知ると、華やかなパフォーマンスの中にも、歌うための細かな選択が見えてくる。

時期をまたぐ表現の変化については、ヒョリンの歌唱変遷でたどっている。

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