CUTIE STREETの古澤里紗は、歌う前から人に見られる仕事をしていた人です。
しかし、モデルやインフルエンサーとしての経験が、そのままステージで歌える自信になったわけではありません。
アイドルになってから、声を出すタイミングも、踊りながら歌う難しさも、一つずつ覚えてきました。
その変化は、目の前の一節を自分の表情で届けられるようになるまでの歩みです。
デビュー直後の戸惑い、初ワンマンでの挑戦、そして少人数で歌う新しい場面をたどってみましょう。
憧れていたアイドルの歌を、自分が歌う側へ
古澤がアイドルに憧れたきっかけは、子どもの頃に出会ったAKB48でした。
母親に背中を押されてオーディションを受けたものの、すぐに夢がかなったわけではありません。
モデルやインフルエンサーとして活動したのち、CUTIE STREETに加わったことを、本人は人生の新しい章として受け止めています。
ダンスの経験はあっても、歌は未経験でした。
立ってマイクを持つところから始め、そこへダンスが加わります。
2024年のデビューライブ、TIFでは、歌い出しに入るだけで精いっぱいだったと振り返っています。
音程やリズムに注意を向ける余裕もなく、まず出だしに入ることが最優先だったといいます。
人前に立つことと、音楽の流れの中で自分の番を受け持つことは、別の課題だったのです。
八人がパートを受け渡す歌では、曲の流れの中で、自分の出番をつかむ必要があります。
決まったタイミングで声を出しながら、踊りや立ち位置にも気を配る。
華やかなデビューの裏では、そうした基本を同時に扱う難しさがありました。
2024年、短いセリフもその日の表現になった
初期の代表曲「かわいいだけじゃだめですか?」について、古澤は曲中に三度あるセリフの、あざとい可愛さを見どころに挙げています。
ライブでは、その日の歌やセリフに違いが生まれることも楽しんでほしいと話していました。
同じ曲を繰り返す中にも、一回ごとの表現があると捉えていたのです。
2024年12月の「THE FIRST TAKE」では、古澤のセリフからこの曲のパフォーマンスが始まりました。
途中のセリフは梅田みゆ、終盤は桜庭遥花へと受け渡されます。
それぞれの声が、曲の場面をつくる構成です。
「THE FIRST TAKE」(2024年12月公開)
この初出演を終えた古澤は、普段と違う収録の戸惑いも明かしています。
ヘッドホンの左右やケーブルの扱いに、メンバー同士で慌てたといいます。
画面に残る一回のパフォーマンスの前には、いつものライブにはない準備や緊張もありました。
2025年の初ワンマンで、知っている曲の難しさに出会う
2025年2月、初ワンマンの前夜祭では、歌うパートを入れ替える企画がありました。
古澤が担当したのは増田彩乃のパートです。
何度も聴いている「かわいいだけじゃだめですか?」でも、実際に歌い、踊り、所定の位置へ動こうとすると難しかったと記しています。
曲を知っていることと、そのパートを自分の体で演じられることの間には、距離があります。
いつも自分が受け持つ部分で身につけた感覚を、そのまま別の部分へ移すことはできない。
この企画での戸惑いは、八人で一曲を仕上げる仕事の細かさも伝えてくれます。
翌日の初ワンマンでは、新曲三曲も披露しました。
古澤はリハーサル中、歌えるか、踊れるかと不安になり、泣いてしまったことを明かしています。
ほかの七人の励ましを受けて、本番へ向かう気持ちを立て直しました。
「かわいいだけじゃだめですか?」豊洲PIT公演(2025年2月2日)
順調に大きな会場へ進むことと、不安がなくなることは同じではありません。
曲が増えれば、新しく覚える歌や動きも増える。
自信がついてから挑戦するだけでなく、仲間の支えを借りて本番へ進む経験も、この時期の古澤の歌を育てていました。
歌い出すだけで精いっぱいだったところから、自分の声へ
2025年7月、古澤は歌い出し方や、伝えたいニュアンスを考えながら歌えるようになったと話しています。
顔の表情も含め、自分でコントロールできる範囲が広がったのです。
音程感覚のよい真鍋凪咲や桜庭にも、アドバイスを求めてきました。

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同じ夏、初めは歌い慣れず、先生をまねるような歌い方になっていたことも振り返っています。
ライブやレッスンを重ねるにつれて、自分の声を出せるようになったという実感が生まれました。
歌うことに慣れる過程が、声の個性を出す過程にもなっていたのです。
変化の要点は、歌うときに考えられることが増えた点にあります。
まず自分の出番に入る。
そこから、どのような表情で言葉を届けるかまで考える。
同じ一節でも、本人が選べることが増えると、その場の相手へ働きかける余地が生まれます。
2026年、八人の中の声から三人でつくる歌へ
2026年には、川本笑瑠、梅田みゆとの三人で歌う「I Amai Me Mind」が加わりました。
古澤は、以前からユニット曲を歌いたかったと話し、レトロな音楽や映像の雰囲気も気に入っています。
八人でつくる曲に加えて、少人数の組み合わせを楽しむ場ができました。
同年7月の韓国公演でも、三人はスタンドマイクを使ってこの曲を披露しています。
八人の曲が並ぶステージの途中に、三人で声を合わせる場面が置かれました。
古澤の声を聴ける組み合わせが広がった変化です。

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歌の入り口で迷っていた人が、自分のニュアンスを考え、さらに違う人数の歌にも参加する。
古澤里紗の歩みは、歌の中で受け持てる役割を増やしていく過程として見えてきます。
短いセリフにも、歌い始めの一節にも、その人らしさを置く場所がある。
初期の戸惑いを知ると、今のステージにある可愛さも、経験を積みながら届けられるようになった表現として受け止められるのではないでしょうか。

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